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おでん教室

家庭で串おでんを楽しむ方法

いつものおでんをアレンジしてみませんか?おでん種を串に刺すだけで見映えがぐーんとアップします。ディップでいただく「カラフル串おでん」を渡辺あきこさんに、夫婦で季節をめでる「紅葉おでん」を野﨑洋光さんに紹介いただきました。串にまつわる「おでんと串の不思議な関係」も掲載しています。

串おでんで団らんを

おでんはよく煮込み一度にたくさん作ったほうがおいしいと考えている人もいるようですが、他のおかずと同じようにできたてを味わうのが一番おいしいもの。串おでんの良さは調理時間が短いこと、種ものを小さく切って竹串に刺すので、火を通す時間も短くなります。食べる分だけさっと作ってできたてのおでんを囲みながら、おでんで団らんいかがですか。

串おでんの達人の極意

  1. おでんは見た目の美しさや華やかさが大切、野菜で彩りを豊かにする
  2. 串おでんの種ものは小さく切って、優しいスープで“さっと煮”するだけ
  3. 串おでんの味付けにはディップやたれを用意し、種ものとの組み合わせを楽しむ

おうちでおでんパーティー派

渡辺あきこさんの串おでん

串おでんは、手に取りやすく食べやすいので「おうちパーティー」に最適のメニューです。彩りが豊富になるように練りものや野菜を串に刺してさっと煮して卓上へ。薬味やたれを数種類用意すれば、家族それぞれが好みの味付けで食べることができます。種ものとどのたれの相性が良いかなど楽しみながら会話も弾みますね。

渡辺あきこさんの串おでん

今回紹介するのは「カラフル串おでん ディップ添え」。パーティレシピには楽しさが大事です。アスパラやパプリカなど野菜を入れることで、栄養バランスが良くなることはもちろん、いつもおでんがぐっと華やかになります。このレシピは鶏ガラの塩味ベースなのでさっと煮した野菜が驚くほどよく合います。
ディップは和・洋・中・エスニックと4種類考えてみました。特にピーナッツバターだれがおすすめです。

渡辺 あきこさん 渡辺 あきこ(わたなべ・あきこ)さん
料理研究家。東京都出身。専門は日本の家庭料理。日本各地の郷土料理の研究をライフワークにして、料理教室や講演会などの合間をぬって各地に足を運んでいる。NHK「きょうの料理」「あさイチ」に出演。

夫婦でしっぽりおでん派

野﨑洋光さんの串おでん

いつもおでんを串に刺すだけでぐっと「(おもむき)」が増しますね。家庭料理は気取りすぎる必要はありませんが、料理には味のおいしさはもちろん、見た目の美しさも大切です。また、「串刺しにするため種ものを小さく切ること」や「サッと煮して冷やして味を染み込まること」などのコツを覚えて煮込む時間を短くすれば種ものがグチャグチャになりにくく美しく仕あがります。

今回紹介するのは「紅葉おでん」と「冷おでん」とです。鍋を“雪景色”や“満開の桜”などひとつの景色と見立てましょう。例えば、雪は豆乳仕立てのおでん汁で、桜は野菜を型で抜いて表現できます。「紅葉おでん」では味噌だれで紅葉を、「冷やおでん」ではタコで夏の波を表現しました。
おでんを囲んで冷酒や燗酒を片手に、ご夫婦で訪れた旅先での情景の話をするなんて楽しそうですね。

野﨑 洋光さん 野﨑 洋光(のざき・ひろみつ)さん
1953年福島県生まれ。武蔵野栄養専門学校卒業。1980年「とく山」の料理長を経て、1989年「分とく山」を開店し、2023年12月まで総料理長を務める。和食の技と素材の味を活かした家庭料理のレシピで定評がある。著書に、『なぜ? からはじめる かんたん和食』など多数。

子どもと一緒に定番おでん串刺し派

紀文社員考案の串おでん

おでん種を串に刺すだけで、いつものおでんがぐっと楽しくなります。
串おでんならでは、ついつい手が出て、バランスよくひと通り種物を食べてもらいたいそんな思いで考案しました。おかずはもちろん、間食や家飲みおつまみにも最適です。
お子さんも串に刺すのを手伝って、わいわいと親子でおでん作りを楽しみながら、時にはねりものが魚からできているなどの話をして、小さい時から和食に親しんでいただけたら嬉しいです。

紀文社員考案の串おでん

おでんと串の不思議な関係
~ご当地おでん編~

ご当地おでんの中で、串おでんとして有名なのは、東日本の「静岡おでん」と西日本の「高松おでん(愛媛)」です。

静岡おでん

静岡市のおでんは、「しぞーかおでん」とも呼ばれ、青葉区のおでん屋街がよく知られています。この他、駄菓子屋さんやおにぎり屋さんにおでんコーナーがある店舗が多く、独特の真っ黒な汁に串に刺したおでん種がたくさん並び、子どものおやつや小腹が空いたときに食べられていて、市民に愛されるメニューとなっています。

静岡おでん

黒はんぺん・なると巻が特徴のコク深い黒い汁で煮込むおでん。だし粉と青のりをかけていただきます。

高松おでん

高松市では、讃岐うどん店におでんコーナーがある店舗が多く、白天という名称のさつま揚や味噌だれが特徴です。驚きなのが「こんにゃくのおでんストッパー」。串刺したおでん種の先に、1cm程度の角切りにしたこんにゃくを刺して、垂直に立てたおでん種が抜けないような工夫がされています。

高松おでんのこんにゃくのおでんストッパー

高松おでんのこんにゃくのおでんストッパー

高松風おでん

2種類の味噌だれ(白味噌とからしなどで作るたれと、赤味噌と砂糖などで作るたれ)をつけていただきます。

串おでんは日本だけではありません。韓国では棒状や平べったい形の練りものを昆布だし煮てごま油と唐辛子入りの醤油をつけて食べます。マカオには練りものなどをゆでてカレーソースかけるローカルフード「マカオ風カレーおでん」があります。

屋台で売られている、串に刺さった韓国風の「おでん」

屋台で売られている、串に刺さった韓国風の「おでん」。
撮影:森枝 卓士(写真家、ジャーナリスト)

韓国おでんについて

おでんの歴史と串の関係
~歴史編~

おでんといえば、丸・三角・四角の種ものを串に刺した「チビ太のおでん」の串おでんを連想される方が多いはず。なぜなら、おでんにとって「串」はその発展における過程で欠かせない存在であったからと考えられます。

田楽

おでんのルーツは、拍子木型に切った豆腐に串を打って焼いた「田楽」で、語源はこの「田楽」の女房言葉と言われています。女房言葉とは、宮中などに仕える女房が使用した隠語で、田楽に「お」をつけて丁寧にし、楽を省略して「おでん」となったようです。

この田楽は室町時代に庶民に広がり、江戸時代にはファストフードとして田楽の種類も豆腐・ナス・里いも・こんにゃく・魚と増えていきます。やがて、江戸後期に醤油の醸造が盛んになり煮込みおでんが誕生しました。さらに明治から戦前までは煮売りや屋台で食されて発展期を迎えます。お店側にとっては提供のしやすさ、食す側の食べやすさから串が多く利用されたようです。そして現代、おでんは日本人のソウルフードとして愛される国民食となりました。

おでんの屋台に群がる子どもたち「おでん屋 江東 1955年」写真:土門 拳

おでんの屋台に群がる子どもたち「おでん屋 江東 1955年」写真:土門 拳