鍋教室
鍋の道具
- 株式会社紀文食品
鍋の基本的なかたちは「浅くて口の広いもの」。それは、様ざまな材料がひと目でわかり、四方から取りやすいからです。ほかにも“鍋王国”の日本には、それぞれの料理の特徴に合わせた専用鍋があります。
基本の鍋
「浅くて口が広く、底に
適度な丸みのある土鍋」
鍋といってもいろいろありますが、寄せ鍋や水炊き、ちり鍋などに幅広く使える形が「浅くて口が広く、底に適度な丸み」のあるもの。この形なら様ざまな材料がひと目でわかり、具が沈まず、取り出しやすいからです。卓上コンロの上での安定性も大切。この形で蓄熱性が高い土鍋なら、煮ながら食べる卓上鍋としてはもちろん、火からおろして食卓に運ぶ方法でもアツアツがいただけます。また、炊飯などほかの料理にも使えるので、ひとつあるとよいでしょう。
専用鍋
鍋の種類によって最適な形と素材があります。よく作る鍋ものなら、専用鍋を手に入れると使い勝手がよいのはもちろんですが、食卓が盛り上がります。
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おでん鍋
仕切りのある「おでん鍋」は、具をきれいに分けて並べられる。仕切りはたいてい取り外しできるので、ほかの鍋ものにも活用できる。
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すき焼き鍋
肉を広げて焼き、具はひと並べにして煮るので深さは必要ない。底が平らで熱伝導と蓄熱性がよい、厚い鉄鋳物の「すき焼き鍋」が最適。
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うどんすき鍋
うどんをお椀に取り分けやすいよう、平らなふちが外側にへり出ているのが特徴。アルミ製が多く、底が丸くて熱伝導に優れている。
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しゃぶしゃぶ用鍋
ドーナツ状で真ん中が煙突のように突き出た鍋。鍋の底の表面積が増えることで、しゃぶしゃぶ時にもお湯の温度が下がりにくいのが特徴。
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ジンギスカン鍋
中央部分がカブトのように盛り上がった独特の形状をしており、表面には溝が刻まれている。盛り上がったところで肉を焼き、野菜はふち側に。
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その他
ブームとなった、とんがり帽子が特徴の「タジン鍋」や、素材の蒸気をあますところなく使う「蒸し鍋」用の鍋は、大きなフタが特徴。
鍋の素材
土
土鍋は素焼きに柚薬をかけた荒陶製の鍋で、鍋の素材としてはもっともポピュラーでしょう。土に気泡がたくさん含まれているので蓄熱性が高く、火のあたりがやわらかいのが特徴です。具にゆっくりと火が入るので、肉や魚、野菜の旨みを引き出し、食感もよくなります。見た目のぬくもりも魅力。コトコト煮ながら鍋を囲む鍋ものには、ぴったりですね。
割れやすい、重い、耐熱温度が低い、などのデメリットもありましたが、最近の土鍋は改良が重ねられています。軽くて扱いやすいもの、直火で炒めものができる耐熱温度の高いもの、IHにかけられるもの、などニーズに合わせた土鍋が開発されています。また、少人数家庭が増えたことから、小鍋も多く見かけるようになりました。産地は伊賀、四日市(萬古焼)、信楽など。素材、形、風合い、サイズなど、バリエーション豊かな土鍋、わが家にぴったりのものを選びましょう。
手入れのポイントは、使ったらよく乾かすこと。使いはじめにお米のとぎ汁や、小麦粉を混ぜた水(水カップ1杯に小麦粉大さじ1)を弱火で10分ほど煮ること。こうすると米や小麦粉の粘りが土肌にしみ込み、ひび割れを防いでくれます。
金属
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鉄
土鍋と並んで、昔から日本人がなじんできたのが鉄鍋。熱伝導率や畜熱性がわりあい高く、油がよくなじむのが魅力。とくに岩手県名産の南部砂鉄の鋳物鍋は、厚手で火の回りが安定しているので、すき焼きには最適。
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アルミニウム
金属の鍋ではアルミ製のものも一般的で、熱伝導性のよさからうどんすき鍋やおでん鍋でおなじみ。丈夫で軽いので扱いも楽。ただし、アルミは酸やアルカリに弱いという性質がある。
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厚手ステンレス
厚手ステンレスは蓄熱性が高く、安定して温度を保てる。IHにかけられるので、長時間煮込む鍋やすき焼きにも使える。手入れが楽なのもうれしい。
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ほうろう(ホーロー)
鉄など金属製の鍋にほうろう加工(ガラス質のエナメルを表面に焼きつける)をした素材。酸やアルカリに強く、色が美しく、手入れが簡単。とくに中が鋳鉄製の鍋は熱回りが安定しているので、煮込み料理に最適。
その他
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石
日本では一般的ではないが、中国や韓国では古くから使用されている。原石は角閃石(かくせんせき)と呼ばれる石で、抜群の保温性と均一な熱伝導率に加えて、遠赤外線の効果がある。
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ホットプレート
素材は様ざまだが、熱源とセットで使え、手入れも楽なことからホットプレートにセットされている鍋の利用が増えている。忙しい日常には便利。
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耐熱ガラス
熱によって軟化しにくい耐熱性のガラスを材料とした鍋。熱伝導率はよくないが、保温性がよく、電子レンジやオーブンに使える。洋風鍋をオーブンで調理、というときにおすすめ。