練りもの教室
練りもの図鑑 さつま揚
- 株式会社紀文食品
日本各地のさつま揚は色や形、味わいも個性豊かであると同時に、実に様ざまな名前で呼ばれています。「さつま揚」というのは関東を中心にした地域での呼び名で、関西では「てんぷら」、鹿児島では「つけ揚げ」、沖縄では「チキアギ」と呼ばれています。
作り方
歴史・特性・豆知識など
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発祥の頃の名称は「天ぷら」
『守貞謾稿』(1837年刊)によれば、「京坂にててんぷらと云、油をもちざるを半片と云也。江戸には此天麩羅なし、他の魚肉、海老等に小麦粉をねり、ころもとし、油揚げにしたるを天ぷらと云。此天麩羅京坂になし。有、之はつけあげと云」と記されている。
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さつま揚の呼び名
『虚南留別志』(1834年刊)に、「天麩羅 魚類を油にて揚げたるを名とす。はじめは天麩羅阿希(あぶらあげ)と<中略>。いつしか揚の字を抜きて、天麩羅と計りかきしゆへ。すべててんぷらと惣名なりけり」とあり、「てんぷら」という名前のさつま揚があったと推察できる。
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白いさつま揚?
「白てんぷら」や「白天」の名称で主に京阪神で食される。調味に砂糖やみりんを用いずやや低めの油温で揚げるため表面が白い。白さを生かして黒色のキクラゲ、赤色のショウガを混ぜ揚げたものなど美しい具入りのものもある。
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さつま揚のルーツ
昔、沖縄の漁師がよい漁場を求めて東南アジアに出かけた。東南アジア各地で見たものは、魚のボールのようなものだった。それを持ち帰り、沖縄で発達・完成したのが沖縄の揚かまぼこの「マルグァとヒラグァ」。現在でも平天型のツキアゲ(チキアギ)と紐型のマルグァの2種類が食されている。
栄養
たんぱく質を多く含む高たんぱく食品である。組み合わせる具材により、ビタミン類および、食物繊維の含有量は大きく変わる。
100g当たり | エネルギー kcal | たんぱく質 g | 脂質 g | 炭水化物 g | 食塩相当量 g |
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さつま揚げ | 135 | 12.5 | 3.7 | 13.9 | 1.9 |
日本各地のさつま揚
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野菜入りのさつま揚
生地に細かく切った野菜を混ぜ込んだ、野菜のかき揚げとも言えるもので、野菜の歯ごたえと食感を邪魔しない柔らかなつなぎ身が特徴。
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イカ巻・ごぼう巻
生地に細長く切ったイカ(ごぼう)を巻き込んだもの。イカの身が、加熱により縮んで生地から抜けてしまうことのないように、波形に切るなどの工夫で解決している。ほかにはエビ巻、ウインナー巻などがある。
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ばくだん
玉子が丸ごと1個入ったさつま揚。周りを包む白身が、しこしことした食感を持ち、中心にとろりとした黄身が現れる半熟状のものが人気が高い。なお、沖縄では米飯を生身で包んで揚げた「おにぎりかまぼこ」をばくだんと呼ぶ。
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つけ揚
鹿児島県ではさつま揚をつけ揚と呼ぶ。地元で水揚げされるエソ、グチ、ハモや底曵きのサバ、イワシ、サメなどでつくる。形は角形、楕円、小判型など様ざまで、つけ揚の名は、魚を油で揚げたものをさす琉球地方の言葉「チキアギ」に由来するとされる。
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白てんぷら
京阪神、とくに大阪で作られる、揚げ色をつけない白いさつま揚。揚げ色をつけないため、砂糖やみりんなどの糖分はほとんど加えておらず、やや低めの油温で色が白くなるように揚げる。グチ、ハモ、スケトウダラなどを用い、細かく切った昆布やキクラゲを混ぜて揚げたものもある。
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じゃこてん
愛媛県宇和島地方が特産の薄いさつま揚で、「皮てんぷら」とも言われる。沿岸で獲れるホタルジャコやヒメジなどの小魚を原料とする。皮も骨も一緒に入れて作るため、色は黒く、カルシウムが豊富。
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タラシ揚げ
タラシ揚げとは、沖縄の伝統的な揚げかまぼこの一つで、主に八重山諸島で作られる。古くはグルクンなどの地魚が使われていた。一口サイズで、かまぼこの生地にごぼうとにんじんが練り込まれている。
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ジューシーかまぼこ
ジューシーとは、沖縄では炊き込みご飯のことを指し、このジューシーをかまぼこでくるんで揚げたのが「ジューシーかまぼこ」。もともとは、かまぼこ店のまかない食と言われている。別名「おにぎりかまぼこ」。
レシピ例
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さつま揚を使ったお弁当メニュー例「揚ボールの卵とじ」
冷蔵庫の常備品として人気が高いさつま揚は、汎用性の高い食材。具材入りや形状もいろいろで種類も豊富。なかでも揚ボールはコロコロした形からお弁当にぴったりの一品。