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おでん教室

親子で楽しむ「おでん絵本」

  • 安冨 ゆかり先生(JPIC読書アドバイザー&絵本専門士)
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安冨 ゆかり(やすとみ・ゆかり)さん 安冨 ゆかり(やすとみ・ゆかり)さん
JPIC読書アドバイザー&絵本専門士委員会認定絵本専門士。一女の母になったのをきっかけに「JPIC読書アドバイザー養成講座」を受講。修了後、書店や病院、保育園などでの読み聞かせやおはなし会で子どもたちと絵本の世界を楽しみつつ、各種イベント・講習会などを通して、本の面白さ、本を読む楽しさを伝える活動にも参加している。

はんぺんやちくわが温泉に入ったり、旅に出たり……。おでんが主人公の絵本は大人も子どもも楽しめるようです。JPIC読書アドバイザーの安冨ゆかりさんに、おすすめ本を聞きました。

おでんと絵本は好相性なんです

にぎやかなおでん種たちは格好の題材

絵本には、いろいろな食べ物が登場します。食は生きていく上で重要なことですし、子どもがいち早く興味を示す身近なことだからでしょう。おでんは、絵本の題材に向いていると思います。いろんなおでん種が登場するので、にぎやかで楽しい。知っているものだけでなく、知らないものを通して好奇心がわく、話題が広がる。そんな絵本の楽しみ方が出来る題材だと思います。

感覚も含めて楽しめるところがいい

絵本の主人公になるおでんは擬人化されて登場しますが、違和感はありません。鍋のお風呂でおでん種たちがゆっくり温まったり、そのうちワイワイ騒ぎはじめたり・・・・。読んでいるうちに自分も一緒にお風呂に入っているような気分になる、そんな感覚も含めて楽しめるところがいいですね。今回紹介する6冊は、そうしたおでんならではの楽しさがある絵本たちです。

読み聞かせをする安冨さん

読み聞かせをする安冨さん

安冨さんが選んだ6つのおでんの絵本

『おでんのゆ』
『おでんのゆ』

作・絵/真珠まりこ(ひさかたチャイルド)お鍋にだしが張られているところは、確かに、大きなお風呂のようです。「おふろのじかんですよ」と声をかけられたら、入りたくなりますよね。ゆっくり味を染み込ませたい大根から、ちくわ、こんにゃく、玉子にはんぺんまで、おでんの種がそろって温まったら、ほかほかおでんのできあがりです。

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『おでんのおうさま』
『おでんのおうさま』

作/山本祐司(ほるぷ出版)おでんの鍋には、いろいろなものが入っています。大根、こんにゃく、玉子にさつま揚だけでなく、ロールキャベツやウインナーまで。そして、そのどれもが、「自分こそ、おでんの王様だ!」と思っているようです。でも、だし昆布が教えてくれました。「みんなの味が染み出て、おいしいおでんになる。だから、みんなが王様です。」鍋のふたをしめたら「にろにろ、ぐつぐつ」みんなの味が染み出し、染み込んでいきます。

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『おでんしゃ』
『おでんしゃ』

作/塚本やすし(集英社)料理は、食材や食べ方に、それぞれの土地の特色が現れるものですが、「おでん」も例外ではありません。地域限定から全国区になったおでんもあります。日本各地の食材を連結しながら、北で待つお鍋に向かって走る「おでんしゃ」が、南国沖縄を出発しようとしています。どんな食材があるのか、うまく連結できるのか。おでんしゃを応援しながら、日本列島の旅にでかけましょう。

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『にぎやかなおでん』
『にぎやかなおでん』

文/犬飼由美恵 絵/出口かずみ(教育画劇)鍋の中で、おでんたちは何をしているのでしょう?こんにゃくが、身の上話を始めました。生まれたのは畑、こんにゃくいもという種類のいもから大変身してこんにゃくになったと。すると、はんぺんも元は海の魚だったと言い、畑と海の自慢合戦で、おでんたちは大騒ぎになりました。その時、「生まれたままの形で、傷一つない」と声を上げたのは……。

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『はやくちことばで おでんもおんせん』
『はやくちことばで おでんもおんせん』

文/川北亮司 絵/飯野和好(くもん出版)おでんの種たちが、温泉にやってきました。ゆっくり温泉につかるだけではすまないようで、あっちこっちの様子を、早口言葉にして紹介します。早口言葉ですから、声に出してみないとわかりませんし、楽しくありません。温泉に入った気分で、慌てずに読んでみましょう。からだが温まれば、口も滑らかになりますよ。

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『おでん おんせんにいく』
『おでん おんせんにいく』

作/中川ひろたか 絵/長谷川義史(佼成出版社)おでんの家族がいました。お父さんはさつま揚、お母さんは玉子、一人息子はばくだんくんです。ある休日、いろんなお風呂がある、おんせんランドへ行くことにしました。電車に乗って着いた宿には、おしるこの湯、クリームシチューの湯、湯豆腐の湯など、いろんなお風呂があったけど、入るのはもちろん「おでんの湯」です。

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読むと食べたくなり、 会話もはずむ

おでんは「ほっとできる」食べ物

おでんって、ゆったり、ホンワカした食べ物ですよね。焼肉やすき焼きは焼きすぎないようにと焦ったりするけれど、おでんは逆。ゆっくり時間をかけて味が染み込んだものほどおいしい。そんなイメージがあるから、お母さんもが読み聞かせをしながら、ほっとできるんじゃないでしょうか。そして読むと食べたくなったり作りたくなるもの。今夜はおでんということになり、親子で買物に行って「何を入れようか」「本にあれ出てきたね」なんてやりとりする楽しさもありますよね。

おでんと絵本は老若男女が楽しめる

絵本には対象年齢を表示しているものもありますが、「何歳から」はあっても「何歳まで」はありません。子どもだけのものでもなく、大人も楽しめるのが絵本なんです。たとえば、今回紹介した『はやくちことばで おでんもおんせん』は、高齢者福祉施設のおはなし会でも好評でした。食べ物には、思い出もありますからね。食べ物や食べることは、年齢に関係なく気になることです。そして、年齢なりの受けとめ方や楽しみ方があります。その点からも、老若男女が楽しめるおでんを絵本でも楽しんでください。

高齢者福祉施設での読み聞かせReport

2020年11月、デイケア施設「レストランデイTEA倶楽部成城(東京都・成城学園前/杉本 恵子代表)」で、“絵本:はやくちことばで おでんもおんせん”の読み聞かせを実施していただきました。

杉本代表によると、おじいちゃま・おばあちゃま達は、とても楽しそうでボケ予防とか言いながら、『なまたこ・なまあげ・なまがんも』『しらたき しゅるしゅる二しゅるしゅる。。。』などと口ずさんでいました。

“絵本:はやくちことばで おでんもおんせん”の読み聞かせを実施していただきました。

また、読み聞かせ後のおでんを囲んだランチタイムでは、「一人暮らしになるとおでんは、作れないわ。昔は大きなお鍋一杯に作ったね」「息子たちが大好きでね。一人一人が好きな物が違うのよね」「そうそう。好きな物を買って作るとたくさんになって、カレーと一緒であくる日の方が美味しいのよね」と、いつもにも増して会話が弾みとても和やか雰囲気でした。おでんは日本の大切な食文化だとつくづく感じましたとのこと。

“絵本:はやくちことばで おでんもおんせん”の読み聞かせを実施していただきました。