紀文ペディア(年表・用語集)
紀文「食」年表
鍋の歴史は古く、弥生時代まで遡ります。かまぼこなど「練りもの」は平安時代に生まれ、江戸時代の華々しい文化の影響を受けて現在のスタイルに。一方、「おでん」は変化に次ぐ変化をくり返し、現在も進化しつづけています。これらの主な歴史を振り返ります。
- 和暦・西暦
- トピックス
安土桃山時代以前
- 弥生時代
稲作が広まり、高床倉庫に米を保存。米を豆や貝などとともに弥生土器で煮て食べるようになる
- 古墳時代250−600年頃
土で囲ったかまどができる
- 飛鳥・奈良時代飛鳥(592−710)奈良(710−794)
『日本書紀』に神功皇后が三韓征伐の途中、魚肉をすり、鉾の先につけて食べたと記載
- 平安時代927年頃
鉄鍋、朝廷へ献上される(『延喜式』より)
- 933年頃
『和名類聚抄』で、土製の「堝」、鉄製の「鍋」に書き分けられて記載
- 1115年
関白右大臣藤原忠実が三条に移転したときの祝賀料理献立に「かまぼこ」が用いられる(『類聚雑要抄』に記載)
- 1146年頃
故実書『類聚雑要抄』発刊、1115年の祝賀料理リストの中に「蒲鉾(かまぼこ)」の名と絵図が記載
- 1183年
奈良、春日神社の社務所日記に「唐符(とうふ)」の名が記載
- 鎌倉時代1185-1333年
現在の精進料理スタイルが完成。高野山で凍豆腐が生まれる
- 室町時代1437年
蔭涼軒主の記した公用日記『蔭涼軒日録』の中に「田楽」の表記
- 1504年
食事の作法書『食物服用之巻』が発刊、板付きかまぼこの発祥が室町時代中期を思わせる記載
- 1528年
『宗五大草紙』発刊、「かまぼこはなまず本也。蒲のほをにせたる物なり」の記載
- 1548年
料理書『運歩色葉集』発刊、はんぺんの名が記載
- 安土桃山時代1580年
料理書『古今調味集』発刊、はんぺんやしんじょの漢字が様ざま記載。つみれ(摘入)や魚そうめんの作り方も
- 1603年
辞書『日葡辞書』発刊、「Yudofu(湯豆腐)」が記載される
江戸時代
- 寛永12年1635年
京都に初の湯豆腐店が開店
- 寛永20年1643年
一般対象の料理書『料理物語』発刊、かまぼこの料理法を記載。かつお節でのだしの取り方も
- 延宝2年1674年
料理書『江戸料理集』発刊、ちくわの作り方やかまぼこの切り方などいろいろ記載
- 宝永7年1710年
『宝永料理物語』発刊、現在の煮込みおでんが登場
- 享保8年1723年
風俗絵本『百人女郎品定』発刊、豆腐茶屋の様子が記載
- 延享3年1746年
料理書『黒白精味集』発刊、「てんぷら(さつま揚)」の作り方が記載
- 宝暦2年1752年
戦記本『摂戦実録大全 巻1』発刊、豊臣秀頼に板付きかまぼこを作って振る舞ったと記載(安土桃山時代末期に板付きかまぼこがあったと考えられる)
- 天明2年1782年
豆腐料理書『豆腐百珍』発刊、木の芽田楽など11種の田楽を紹介
- 天明3年1783年
豆腐料理書の続編『豆腐百珍続編』発刊、みたらし田楽など14種の田楽を紹介
- 寛政2年頃1790年頃
田楽に菜飯を添えた「菜飯田楽」登場
- 寛政7年1795年
ハモ料理書『海鱧百珍』発刊、さつま揚の作り方を記載
- 享和元年1801年
東京・浅草にどじょう鍋の店が開店
- 文化元年1804年
料理書『料理早指南大全』発刊、卵にすり身を加え、カステラに似せて焼いた「魚かすてら」の作り方を記載
- 天保8年1837年
風俗書『守貞謾稿』発刊、「味噌をつけて焼いたものならなんでも田楽」と記載。おでんの振り売りの様子の絵画あり。地域による「てんぷら(さつま揚)」の表記を説明する記載も
- 弘化3年1846年
こんにゃくの料理書『蒟蒻百珍』発刊、こんにゃく料理82品目を紹介
- 嘉永元年1848年
風物書『近世事物考』発刊、かまぼこの表記について「後に板に付けたるができてより、まぎらわしきにより元のかまぼこは竹輪と名付けたり」と記載
- 安政元年1854年
三代歌川豊国・歌川広重の合作により、歌舞伎役者がところてんを持って見栄を切る浮世絵「当盛六花撰 紫陽花」が描かれる
- 安政3年1856年
大坂町奉行の随筆『浪花の風』に、こんにゃくのおでんが関西ではじまったことをうかがわせる記載
明治・大正
- 明治2年頃1869年頃
牛鍋屋が相次ぎ開店
- 明治3年頃1870年頃
猪、鹿など肉の煮込みを出す料理店が増える
- 明治4年1871年
滑稽本『安愚楽鍋』発刊、当時の牛鍋活況の様子を描かれる
- 明治20年頃1887年頃
東京におでん屋台が現わる
- 明治38年1905年
小説『吾輩は猫である』(夏目漱石)を発表、文中で猫がかまぼこを食べる
- 明治41年1908年
料理書『料理百珍』発刊、はんぺんの名称について「長崎言葉がなまった」との説を記載
- 大正12年1923年
関東大震災をきっかけに、関西の料理人が関東にこぞって進出
昭和
- 昭和11年1936年
料理書『新時代割烹教本』に正月の口取の食材として紅白かまぼこが記載
- 昭和13年1938年
紀文創業
- 昭和15年1940年
小説『夫婦善哉』(織田作之助)が発表。主人公は関東煮屋
- 昭和21年1946年
関西ですき焼きブーム
- 昭和24年1949年
「揚ボール」「紀文つみれ」発売
- 昭和25年1950年
味噌・しょうゆの統制撤廃。完全給食開始
百貨店へ初進出。「はんぺん」発売。正月商品を本格発売
- 昭和26年1951年
「おでん種」に焼印を入れる
- 昭和30年1955年
食の安全を先取り、「さつま揚」のパッケージ化開始
- 昭和31年1956年
塩辛の製造を開始
- 昭和34年1959年
「焼ちくわ」発売
- 昭和35年1960年
冷凍すり身が開発される
- 昭和38年1963年
坂本九の「スキヤキ」が全米ミリオンヒット
- 昭和39年1964年
初のレトルトおでん「即席おでん」を販売
- 昭和42年1967年
「笹かま」発売
- 昭和48年1973年
「竹笛®」発売
- 昭和52年1977年
「豆乳」発売
- 昭和54年1979年
コンビニエンスストアでおでんの販売を開始
落語家 柳家小ゑんの新作落語『ぐつぐつ』が、東京・渋谷の小劇場「渋谷ジャン・ジャン」にて初披露
「うなぎや」発売。豆乳ブーム到来
- 昭和57年1982年
「おせちお重詰めセット」発売
- 昭和60年1985年
「魚河岸あげ®」発売
- 昭和61年1986年
激辛・エスニック料理ブーム
- 昭和62年1987年
カニ風味かまぼこ「マリーン®」発売
平成
- 平成元年1989年
岐阜・柳瀬におでんと串揚げの店「花串庵」が開業。2008年に岐阜駅前の住田町繊維街に新たに「花串庵」をオープン。2020年現在、この商店街に6店の「花串」ブランドを展開する
- 平成2年1990年
東京に懐石風おでんの店が開店
- 平成4年1992年
バブル崩壊後、和風料理への回帰現象起こる。モツ鍋が流行
- 平成6年1994年
人気漫画家・川原泉さんの『メイプル戦記』の1/4コーナーで、「魚河岸あげ®」が東京で発見したおいしい食品ベスト3の一つとして発表される
- 平成7年1995年
コンビニエンスストアでおでんの年中販売が増える
- 平成8年1996年
「チーちく®」発売
- 平成10年1998年
銀座のおでん店でトマトおでんが人気に
- 平成12年2000年
キムチ鍋ブームが起こる
- 平成15年2003年
「豆乳鍋の素」発売
- 平成16年2004年
豆乳鍋ブームが起こる
- 平成17年2005年
銀座で冷やしおでんを出す店が出現
東京・秋葉原で自販機で売られる「おでん缶」が人気に
- 平成18年2006年
ビールCMでご当地おでん(静岡)を紹介
- 平成19年2007年
第二次モツ鍋ブームが起こる
- 平成20年2008年
カレー鍋が人気に
- 平成25年2013年
7月7日が「笹かまの日」に認定される
東京・自由が丘のスイーツテーマパーク『自由が丘スイーツフォレスト』で「スイーツのおでん」を販売
- 平成29年2017年
旭屋出版からおでんの専門書『居酒屋・ビストロ・バルのおでん料理』発行
- 平成30年2018年
東京・恵比寿に昭和ノスタルジー感満載のおでん専門店『東京おでんラブストーリー』がオープン
おでん屋の女将を主役にした『小説 婚活食堂』が刊行、2021年には5巻シリーズとなる
令和
- 令和元年2019年
NHKテレビ春夏期の『連続テレビ小説 なつぞら』でおでん屋が集いの場に
テレビ朝日のテレビドラマ『おっさんずラブ』のロケ地として、出会い系おでん屋が選ばれて話題になる
- 令和2年2020年
2年連続で、『連続テレビ小説 エール』でもおでん屋が集いの場に
家飲みのための卓上調理器具『せんべろメーカー』が発売。翌年、販売好調を受け『にせんべろメーカー』も発売
- 令和3年2021年
『東京オリンピック2020』の選手村の食堂で一般公募のメニューの「冷やしおでん」が採用