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おでんは食感の宝庫

  • 柳沢 幸江先生(元 和洋女子大学 家政学群教授)
    profile
柳沢幸江(やなぎさわ・ゆきえ)さん 柳沢 幸江(やなぎさわ・ゆきえ)さん
女子栄養大学栄養学科卒業、同大学院博士課程修了、博士(栄養学)。女子栄養大学助手などを経て教授職になる。調理学、食事学の立場から、歯科との連携によって、咀嚼と食生活について研究。著書に『育てようかむ力』(少年写真新聞社)、『食生活がわかる』(共著/朝日新聞社)など。

様ざまな食感を持つ食べ物を多様に食べることが、豊かな生活を営むうえで基本と言われます。おでんは、とても軟らかい豆腐や大根から、噛みごたえのあるイカ巻やごぼう巻、昆布まで、食感のバリエーションがとても豊富な料理です。

軟らかさの良さ、硬さの良さ

おいしく食べることは豊かな生活を営むうえでの基本。私たちが食べるためには、食べ物を口の中で小さくして、唾液と混和させて、飲み込める状態にまでする「噛む力」が必要です。

高齢になり噛む力が弱ってくると、軟らかい食べ物に偏りがちですが、様ざまな食感を持つ食べ物を多様に食べることが噛む力を維持することにつながります。

おでんの場合、とても軟らかい豆腐や大根から、噛みごたえのあるイカ巻や昆布など、バリエーションが豊富。昆布など噛みごたえのあるものは噛む力を必要とし、一方、大根など軟らかいものはたっぷり口に入れますので、口や舌を大きく動かすことができます。

一つの料理の中にこれだけ様々な食感を持った食材が入る料理は、とても魅力です。

様ざまな食感
様ざまな食感

噛むことは楽しくて健康に良い

噛むことは楽しい

噛むことは楽しい

紀文のWebサイトでも五感を使って食べることや、食感とおいしさについて取り上げていますが、食べるときの視覚以外の感覚は、すべて噛むことによって引き出されます。

噛むときに感じる「食感」はもちろんですが、食べ物の「味」や「香り」も、口の中でよく噛むことによって食べ物からしっかり出てきます。これらは脳の満腹感も刺激しますので、よく噛んだほうが食べ過ぎも防いでくれますし、食べたときの満足感も高まります。

また、よく噛むことで脳への血流量も多くなり、脳の活性化につながることも期待できます。

さらに、よく噛んで唾液を多く出すことは、消化・吸収に良いだけでなく、口の中をきれいにする効果もあります。よく噛むことは、多方面から健康につながると言えるでしょう。

具(たね)で噛む回数はこんなに違う

下記に主な具(たね)の「咀嚼回数」を示しました。表に示した回数は、実際に食べたときの咀嚼回数を10g当たりに換算したもので、望ましい咀嚼回数を示したものではありません。

よく噛む人、あまり噛まない人、咀嚼回数は個人差がとても大きいのですが、食べ物の比較では個人差はほとんどありません。たとえば、おでんの大根とイカ巻を比べると、イカ巻のほうが同じ量であれば、約3倍噛むことが分かります。

咀嚼回数データ

咀嚼回数データ咀嚼回数データ

噛みごたえの大きな具(たね)は、噛む力を使います。また柔らかい具(たね)は、口を大きく動かすことができます。食材が豊富なおでんは噛みごたえの宝庫で、様々な口の動きを引き出してくれます。「噛むことのバラエティーさが楽しい料理」と言えるでしょう。

おでんの食材をいろいろ楽しみながら、自分の噛む力を維持しましょう。