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おでん教室

紀文 “おでんイノベーション”

  • 株式会社紀文食品

戦前までは屋台や専門店などでの外食メニューだった「おでん」。戦後の経済成長とともに、家庭でも食べられる身近な料理へと変化してきました。最近では新しい具や様々な味つけが登場。季節を問わず食べられるようにも。紀文は、その進化の一端を担っています。

【昭和】~外食メニューから家庭料理へ~

屋台などで食べることが多く、家で作ることの少なかった「おでん」。家庭で手軽に作れることを広めたのは紀文でした。

1951年(昭和26年)

おでん種に焼印で
品質保証

日本で「ブランド」という言葉が普及するずっと前の話。1951年(昭和26年)に紀文がはじめた、具(たね)やはんぺんに押す焼印は、業界でも「画期的」と評判になりました。当時はまだパッケージもない時代。紀文ブランドとして製造・販売する責任の所在を明らかにすることによって、市場やデパートなどでお客様にご支持いただき、練りものの裾野が拡がりました。

焼印が入った「焼ちくわ」

1955年(昭和30年)

おでん種の
パッケージ化

当時の商品パッケージ

昭和30年初め、バラ売りが一般的だった具(たね)を業界に先駆けてパッケージ化したのは紀文でした。形が丸い揚ボールはコロコロして販売しにくいという百貨店側からの要望を受け、いち早く対応したもの。もっとも難航したのがはんぺん。はんぺん特有の軟らかさを保ちつつ、パッケージすることに苦労しました。こうして品質の良い商品を衛生的でフレッシュな状態で提供できるようになりました。

衛生面から同時期に白衣着用も

1960年(昭和35年)

おでん種の量産化と
チルド配送

高品質な具(たね)を全国のご家庭にお届けしたい—。練りものの原料として生鮮魚加工が一般的だった業界で、紀文ではいち早く冷凍されたすり身を使用することに成功。それによって価格や品質が安定し、量産化も可能となりました。さらに全国規模でのチルド物流網も構築、全国の食卓に迅速に具(たね)を届けることが可能となりました。

すり身原料の1つ、スケトウダラ

1968年(昭和43年)

おでんもレトルト
「即席おでん」

当時の工場内レトルト釜

食品のレトルト化の技術が進み、1968年(昭和43年)、「ボンカレー」などレトルトカレーが発売されました。紀文では1964年(昭和39年)頃からおでんのレトルト化を研究。1968年には、常備するおかずとしてレトルト殺菌による「即席おでん」(のちの「江戸趣味紀文おでん」)の自社生産を開始。食べたいときにどこでもすぐに食べられると話題になりました。

当時の「江戸趣味紀文おでん」

1970年(昭和45年)

主婦向けの
おでん教室を開催

昭和46年の巡回料理教室

家庭での喫食が増えた要因の1つに、紀文が各地で行ったおでん教室などの普及活動があげられます。1970年(昭和45年)に始めた紀文の「巡回料理教室」「まちのお料理教室」を通じて、おでんは身近な家庭料理に。キッチン付きの工場見学バスでの車内試食活動も行いました。1974年(昭和49年)からはテレビ番組「土井勝の紀文おかずのクッキング」などでも紹介。

当時の工場見学バス

1972年(昭和47年)

調理の簡便化
「おでん汁の素」

家庭でのおでんの喫食が増えたもう1つの要因に、「調理の簡便化」があげられます。その筆頭と言えるのが、1972年(昭和47年)に紀文が発売した「おでん汁の素」です。おでん汁はおでんの良し悪しの決め手。簡単におでん汁を作れるとあって、家庭でもおでんを食べる機会が急増。様々なシーンでおでんが食されるようになりました。

現在の「おでん汁の素(顆粒)」

1985年(昭和60年)

新しい具(たね)
「魚河岸あげ®

紀文は、まったく新しいコンセプトのさつま揚を1985年(昭和60年)に発売します。それが「魚河岸あげ®」。すり身と豆腐を混ぜ合わせ、クリーミーでソフトな食感は、具(たね)としても最適です。紀文だけのオンリーワン商品で、おでん専門店では大根や玉子など種ものは一般名称が多いなか、「魚河岸あげ®」は商品名が具として使われています。

現在の「魚河岸あげ®

1987年(昭和62年)

若年層におでんを
「紀文の季節」

人気のある具(たね)をセットにした、1987年(昭和62年)発売の「紀文の季節」。手早くおでんを作りたいという人や、家庭で初めて作ってみたい人へのきっかけづくりとなり、おでんとの接点が増大したと言われています。「紀文の季節」の名の由来は、深まった秋のある日、「紀文の季節ですな」というご挨拶をいただいたことから。

当時の「紀文の季節」

1988年(昭和63年)

洋画仕立てのCMで
「主役は練りもの」

1983年(昭和58年)、『スターウォーズ』初期三部作が完結。その話題が冷めやらぬ中、続けざまに洋画の大ヒット作が上映されたこの頃。紀文でも、1988年、大作洋画の予告編をイメージさせるCMを展開。特撮で使用するシュノーケルカメラで林立するおでん種の谷間を縫って撮影し、主演「はんぺん」助演「焼ちくわ」監督は「あなた」と訴求。「日本の伝統料理“おでん”が世界を席巻」と話題になりました。

 

【平成】~バラエティー豊かな味わい方を提供~

生活や食の多様化によって、おでんも進化しています。その変化に合わせて新しい味わい方を提案しているのが紀文です。

1999年(平成11年)

おでんとお酒の
マリアージュ

おでんと日本酒が相性良いのはもちろん、それ以外のお酒とも相性は抜群です。紀文とビールメーカーと共同で1999年(平成11年)に「なべぞこ大根」、2001年(平成13年)に「味たま」、06年(平成18年)に「静岡発黒はんぺん」を発売。また、ワインメーカーと共同で2003年(平成15年)には「ワインとおでんのマリアージュ」を提案しました。

当時の「なべぞこ大根」

2000年(平成12年)

おでんを
世界の味覚で提供

シンガポール風おでん

おでんと言えば「和風」と思いがちですが、アジアンテイストや洋風のおでんも新しい楽しみ方です。紀文ではレシピ提案のほか、2000年(平成12年)に韓国風おでん「キムでん」と、トムヤムクン仕立ての「トムでん」を発売。2008年(平成20年)には「スープカレー仕立てのおでん」「ブイヤベース仕立てのおでん」などの調理済みおでんを発売しました。

当時の「キムでん」「トムでん」

2005年(平成17年)

様々な野菜を
おでんの中に

おでん専門店「銀座よしひろ」が1998年(平成10年)、おでんにトマトを入れてテレビや雑誌で話題となり、野菜おでんが人気となりました。これを受け、ブロッコリーなどの野菜を種ものとして試す家庭も出現。紀文では、2005年(平成17年)に野菜をおいしく味わうためのおでんとして「野菜と味わうサッと煮おでん」シリーズを発売しました。

当時の「野菜と味わうサッと煮おでん」

2005年(平成17年)

夏でもおでんを
楽しみたい

和風の夏おでん

ウーロン茶漬けやアイスカレーなどの“冷やしもの”ブームが2005年(平成17年)頃に起きました。冷たいおでんを提供する店が銀座に現れ、「冷やしおでん」がブームに。紀文ではレシピ提案をはじめ、夏向け商品として、2005年(平成17年)にあっさりとした「鯛だしおでん」を発売。08年(平成20年)には「冷やしおでん」を発売しました。

当時の「冷やしおでん」

2006年(平成18年)

懐石風おでんを
気軽にご家庭で

素朴なおでんをおしゃれに味わう人が増え、家庭でも大根にとろろ昆布をのせてネギをあしらうなど、ひと手間かけて楽しむ人が増えています。紀文では、2006年(平成18年)に「分とく山」総料理長の野﨑洋光氏監修による懐石風の四季おでんを提案。10年(平成22年)には「12か月のおでんレシピ」へと広がり、15年(平成27年)にはオンラインショップでも限定販売しました。

豪華な伊勢海老入りおでん

2007年(平成19年)

ご当地おでんを
全国区に

串刺しが特長の静岡おでん

ひとくちに「おでん」と言っても、地域によって具(たね)や汁(つゆ)、つけだれなど、味わい方が異なっています。独特の味つけの名古屋おでんや、串刺しが特長の静岡おでんなどはまさに郷土料理。紀文では調理済みご当地おでんとして、2007年(平成19年)から「名古屋風」「青森風」「姫路風」「静岡風」「金沢風」「北海道風」「長崎風」などを発売しました。

当時の「名古屋風 味噌煮込みおでん」

2012年(平成24年)

ご当地版
「だし」と「たれ」

当時のご当地つけだれ(6種)

ご当地おでんは「だし」や「たれ」のバリエーションが豊富。紀文では、2012年(平成24年)「おでん汁の素シリーズ」に「名古屋風」「博多風」を発売。さらに「鰹だし」「鯛だし」2種の味わいが楽しめる商品も発売。一方、「たれ」では「山椒みそ」、青森風「生姜みそ」、姫路風「生姜醤油」、信州飯田風「ねぎ醤油だれ」などを発売しました。

当時の「鯛だしおでん」

1994年(平成6年)〜現在

家庭のおでんを調査
「鍋白書」

紀文では、おでんなど鍋と食生活をテーマとする「紀文・鍋白書」を1994年(平成6年)より毎年発表しています。家庭でおでんはどのような存在なのか。どの程度食べられて、どのような具(たね)が好まれているのか—。それらを毎年調査して、その年の傾向やランキングなどを発表しています。その一部は以下Webサイトにも掲載しています。
鍋ランキング(鍋白書)

鍋白書の紙面例