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紀文・アジア練りもの紀行 vol.5 タイ編

紀文・アジア練りもの紀行 vol.5 タイ編

タイ料理は練りものやすり身を使ったメニューが豊富

タイ料理は練りものやすり身を使ったメニューが豊富

タイでは、魚介類は一尾付けや切り身のほか、すり身にして調理することも多く、なかでも、今回ご紹介する「トートマン・プラー」(魚のすり身のさつま揚)や「トートマン・クン」(エビのすり身のさつま揚)が、代表的なメニューになっています。どこの市場やスーパーでも、魚介類のすり身が売られていて、家庭ではそれを購入して調理するのが一般的です。
また、市場やスーパーでは、すり身だけでなく練りものもたくさん並んでいます。日本に比べるとバリエーションが少なく、ボール状のゆでたシンプルなものがほとんどで、炒めもの、サラダ、カレー、麺類など、さまざまな料理に使います。わたしも、「パッ・チャー」(唐辛子やにんにくを使ったスパイシーな炒めもの)、「ヤム・タレー」(辛味のある魚介のサラダ)、「ゲーン・パー」(ココナッツミルクを使わない辛味のあるカレー)などによく使っています。
出身地でもあるバンコクでは、24時間いつでも、手軽に屋台で食事をとれるのが魅力で、ボール状の練りものを串に刺してあぶったり揚げたりしてスパイシーなタレにつけて食べる「ルークチン・ピン」「ルークチン・トート」などが定番メニューになっています。

ほかにも、タイでは、近年日本の料理を扱う店が増えていて、なかでは、おでんも見かけます。味は現地に合わせてトムヤム風などにアレンジされていますが、もともと屋台文化が盛んな国ですから、若者たちを中心に親しまれています。

ダーさん

後藤 ウィニーさん本名チョンシター・ダムロンティララットさん。愛称はダーさん。
スアン・ドゥシット・ラチャパット大学のインターナショナルカリナリースクールタイ料理特別講師。 各国でのタイ料理の指導・タイレストランアドバイザーとして務めた豊富な経験を持つ。
2009年よりタイ教育・文化センターのタイ料理コース専任講師に。3児の母であり、同センターのお母さん的存在でもある。

「トートマン・プラー」タイの練りものは食感が大事

「トートマン・プラー」タイの練りものは食感が大事

今回ご紹介する「トートマン・プラー」のレシピでは、日本の家庭で作りやすいよう、タラとアジの身を使っていますが、この料理は、普段は“ナイフフィッシュ”※で作っています。ナイフフィッシュは、日本ではあまり見かけませんが、タイでは手に入りやすくポピュラーな淡水魚です。
タイの練りものは食感がしっかりしたものが多く、弾力があって歯ざわりの良いほうが好まれます。身質が詰まっていて粘り気のあるナイフフィッシュは、身が練りやすく、揚げたりゆでたりするとプリッとした食感に仕あがるので、すり身にして調理されることがほとんどです。
今回のレシピでは、フードプロセッサーに2回かけてよく練ることで、本場のナイフフィッシュのような弾力を出す工夫をしました。日本のさつま揚に比べて、少し厚めの円形にしているのも、食感を楽しむためのポイントです。

※Perciformes目Notopteridae科に分類される魚の総称。タイ語の呼び名は“プラー・グラーイ”。

「グリーンカレー」日本の練りものはタイ料理と相性抜群

「グリーンカレー」日本の練りものはタイ料理と相性抜群

揚げたもの、焼いたもの、ゆでたもの、野菜やチーズの具材が入ったもの、形状もさまざまと、日本の練りものを初めて見たときは、とにかく種類が豊富で驚きました。
今回は白身魚を具材にすることが多い「グリーンカレー」の主役として、笹かまぼこを選びました。笹かまぼこは、旨味が出るうえにスープがよく染み込むので、カレーの具材にぴったり。練りものの旨みで、白身魚を使ったときとは違ったおいしさに仕あがりました。
日本の練りもののなかでも、笹かまぼこや板かまぼこはしっかりと弾力のある食感がタイの練りものに近いので、炒めものやスープ、サラダなど、ほかの料理に使ってみるのもよさそうですね。

タイの家庭ではスパイスを常備、料理に適した量を加えるのがおいしさのポイント

タイの家庭ではスパイスを常備、料理に適した量を加えるのがおいしさのポイント

タイでは、どの家庭でも幾種類かのスパイスを常備していて、素材のおいしさを引き出すために、料理によって使い分けています。今回のレシピでも「トートマン・プラー」に欠かせない“バイマックルー(こぶみかんの葉)”や、魚を使ったグリーンカレーに必ず加える“グラチャイ”など、数種類のスパイスを使っています。
スパイスは独特の風味や香りが強いものが多いので、料理に合わせて適した量を加えることが重要です。初めてタイ料理にチャレンジするときは、しっかり計量しましょう。
耳慣れないものもあると思いますが、今回使ったような代表的なスパイスであれば、最近はインターネット通販だけでなく、輸入食材店や大型スーパーなどでも買い求めることができ、入手が難しくありません。小分けで販売している店もありますので、ぜひ、日本の家庭でもタイの代表的な家庭料理「トートマン・プラー」と「グリーンカレー」の2品を作ってみてくださいね。

今回のレシピで使ったスパイスの紹介

今回のレシピで使ったスパイスの紹介

バイマックルー(こぶみかんの葉)

【バイマックルー(こぶみかんの葉)】
柑橘系のさわやかな香りが特徴のスパイス。
香り付けをするために加えることが多く、「トートマン・プラー」には欠かせません。

プリックチーファー

【プリックチーファー】
彩りとして使うことが多く、今回は、色味を出すために潰してタレに加えていますが、そのままでトッピングとして使うことも。赤唐辛子に似ていますが、辛味はほとんどなく、緑色のものもあります。

グラチャイ

【グラチャイ】
香り付けや匂い消しのために用いられるスパイスです。魚料理に加えることが多く、タイの生姜と呼ばれることも。

バイホーラパー

【バイホーラパー】
バジルによく似たスパイスで、今回はグリーンカレーの独特の香りを出すために使いました。付け合わせの野菜として添えて、そのまま食べることもあります。

ダーさん

後藤 ウィニーさん本名チョンシター・ダムロンティララットさん。愛称はダーさん。
スアン・ドゥシット・ラチャパット大学のインターナショナルカリナリースクールタイ料理特別講師。 各国でのタイ料理の指導・タイレストランアドバイザーとして務めた豊富な経験を持つ。
2009年よりタイ教育・文化センターのタイ料理コース専任講師に。3児の母であり、同センターのお母さん的存在でもある。