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紀文アカデミー

【おでん】教室 歴史

進化を続ける平成のおでん

和風の味つけ、固定化した種ものなど、変化が少ないと思われがちな“おでん世界”ですが、この四半世紀、急激に進化を遂げています。とくに最近は懐石風におしゃれになったり、さまざまな味つけや種ものが増えたり、四季を通じて食べられたりもしています。

進化を続ける平成のおでん

和風のおでんをおしゃれに

野﨑総料理長の筍おでん
野﨑総料理長の筍おでん

1990年(平成2年)、東京・西麻布に懐石風おでん店が開店。おでん種にイクラをあしらうなど一品一品をきれいに盛りつけ、洗練されたメニューが話題となりました。家庭でも、大根にとろろ昆布をかけるなど、これまでの素朴なおでんをひと手間かけておしゃれにいただくようになり始めたのも平成の初めの頃です。

サラリーマンの聖域“外食おでん”に女性が進出

漫画「サザエさん」で波平さんが立ち寄るおでん屋台のように、昭和期の外食おでんといえばサラリーマンの聖域の屋台でした。1990年初頭のバブル崩壊後、和風回帰が起こり、おでん専門店の客層に女性が増え,おでん専門店のイメージが変化します。
和風回帰により「地鶏・蕎麦・おでん」といった看板を掲げた居心地の良い居酒屋が増え、1998年(平成10年)、フジテレビで放送を開始したOLが痛快に働く姿を描くドラマ「ショムニ」でもおでん外食店が度々登場します。
2000年(平成12年)の日本経済新聞に、「変化を感じ始めたのは5年ほど前。それまで中年以上の男性ばかりだったのに、若い女性が目に見えて増えた。男女のトイレを分けるなど対応に迫られました。と3代目店主は言う。」というおでん専門店の記事があります。

喫食シーンの増大 コンビニエンスストアのおでん

コンビニエンスストアおでん
コンビニエンスストアのおでん

1979年(昭和54年)に始まったコンビニエンストアの店頭でのおでん提供は、平成に入り扱う店舗数も増えました。このことにより、おでんは秋冬期の家庭での夕食のメニューだけでなく、子どもの塾帰り、おやつや夜食に利用されるなど接触機会が増し、おでんがより身近な存在となりました。
また、核家族やシングル世帯が増え、個食化のニーズに対応したレトルトのおでんの販売量が増加したのも平成に入ってからです。

ご当地おでんの台頭

静岡風おでん
静岡風おでん

昭和最後の1988年から平成最初の1989年にかけて実施された「ふるさと創生1億円事業」を始め、数々の地方創生の政策が打ち出され、「ご当地食材」「ご当地グルメ」の開発やPR活動が盛んになり、ユニークなご当地「ゆるキャラ®」が誕生したのは平成の出来事のひとつです。
ご当地グルメとして、八丁味噌の独特の味付けの名古屋味噌おでん、串刺しが特徴の静岡おでん、女性タレントの発言でブームとなった姫路おでんなどがマスコミで取り上げられ、普段なにげなく食べているおでんが、地方によって種ものやだし汁、つけだれなど食べ方がまったく違うことを意識するようになったのもこの頃です。

種もののボーダーレス化

魚のすじ
魚のすじ

1995(平成7年)の毎日新聞大阪版に、「ちくわぶ、関西“上陸” 箱根越え、納豆以来?」との記事があります。内容は、関西圏であまりなじみのなかった関東圏特有のおでん種の「ちくわぶ」が1993年頃からスーパーマーケットでの取り扱いが急増し、おでん専門店で扱われるようになったというものです。
また、2006年(平成18年)には、キリンビール「一番搾り」のCMで「静岡風おでん:黒はんぺん編」が放送されました。
平成に入ると、ちくわぶや黒はんぺんのほか、関西圏の牛すじなどその地方でしか食べられていなかった種ものが脚光を浴びるようになります。おでん種で「すじ」といえば、関東では「魚のすじ」を、関西では「牛肉のすじ」をさします。牛すじは、2018年(平成30年)のおでん喫食調査で、「全国の主婦が選ぶ好きなおでん種の3位」にランクインするなどすっかりおなじみの種ものとなりました。

種ものの自由化

トマト鍋
トマト鍋

1998年(平成10年)、東京・銀座のおでん専門店「よしひろ」がおでんにトマトを入れる「野菜おでん」のメニューを開発すると、その新規性から、トマトやレンコンなどの野菜を取り入れるおでん専門店があっという間に増え、おでん汁で果物を味わうメニューを提供する店舗まで出現しました。
家庭でも野菜おでんの認知は広がり、今までは野菜といえば大根やじゃがいもが主体でしたが、ブロッコリーなどほかの野菜にもチャレンジする方が見受けられるようになりました。

おでんの海外進出

2004(平成16年)の日経MJ新聞に、海外のコンビニエンスストアの記事で、「立地競争、中国、第2の主戦場に。品ぞろえはおにぎりやおでんなど日本とほぼ同じ。」とあります。中国、香港、台湾など、海外のコンビニエンスストアでもおでんが販売されるようになり、おでんは世界のファストフードとして、また、海外旅行で日本食が恋しくなったときに便利と評判を呼びました。

食す温度帯の変化(冷やしもの)

冷やしおでん
冷やしおでん

2005年(平成17年)頃、「ウーロン茶漬け」「アイスカレー」など温かい食べ物を冷やして食す“冷やしもの”がブームとなりました。東京・銀座に「冷やしおでん」を提供する店が出現し、冷やしたおでんが「食欲のない夏でもいただける」と話題になりました。

アキバ発「おでん缶」

2005年(平成17年)頃から、隠れた秋葉原の名物として「おでん缶」の自動販売が雑誌やテレビで取り上げられ、マニア層から全国区へと広まります。ジュースなどと同じように自販機で購入するという意外性と、缶を開けてそのまま歩きながら食べられるという手軽さが、アキバに来る人たちに受け入れられた理由です。

バリエーションおでんの到来

おでんに使用する種ものが広がり、ご当地おでんなどの影響も受け、鍋料理のバリエーションをおでんの味つけに応用するようになります。2000年(平成12年)頃「キムチ鍋」、2004年(平成16年)頃「豆乳鍋」、2008年(平成20年)頃「カレー鍋」の流行を受け、豆乳おでんや、カレー風味おでんなども現れました。

豆乳カレー鍋
豆乳カレーおでん

鍋料理のブーム

●2000年(平成12年)頃「キムチ鍋」
●2004年(平成16年)頃「豆乳鍋」
●2005年(平成17年)頃「野菜鍋」
●2007年(平成19年)頃「もつ鍋」(第二次ブーム)
●2008年(平成20年)頃「カレー鍋」

スイーツおでんの登場

2013年(平成25年)、東京・自由が丘のスイーツテーマパーク「自由が丘スイーツフォレスト」で「スイーツのおでん」が提供開始。だしの代わりにウーロン茶をベースにしたスープを使用し、フルーツや白玉を入れ、土鍋で提供されました。

ビストロおでん・バルおでん

フレンチやイタリアンの調理法を取り入れた、自由で大胆な発想でおでんに新風を巻き起こすお店が出現。これを受け、2017年(平成29年)には旭屋出版から「居酒屋・ビストロ・バルのおでん料理」という書籍が発行。ポルチーニ茸ソースをかけるおでん、フォアグラ大根などバリエーション100品を紹介しています。

おでんの可能性は無限大

焼おでん
焼おでん

紀文でも、平成最後のおでんのシーズンとなる今秋冬に、ワインとの相性も良い「チーズおでん」、いつものおでんが2倍楽しめる「焼おでん」などを公式サイトなどで紹介しています。おでんの可能性は無限大だと考え、新しい年号で迎える2020年のオリンピックイヤーには、「ODEN」を全世界の方々に召しあがっていただくことを願って、新しいおでんを提供してまいります。