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紀文・アジア練りもの紀行 vol.4 韓国編

紀文・アジア練りもの紀行 vol.4 韓国編

韓国の屋台では日本食が人気に!?

韓国の屋台では日本食が人気に!?

日本は今、韓流ブームと言われていますが、韓国でも日本の文化に触れる機会はどんどん増えてきていて、とくに、日本食はレストランや屋台など、さまざまな場所で食べることができるようになっています。なかでも、屋台などの手軽に食事ができる店では、おでんやそばなど、ファストフード感覚で食べられる日本食がそのままの名前で並んでいるのを見かけます。
どのメニューも味付けや具材は韓国人の味覚に合わせてアレンジされていて、例えば、おでんの汁は、唐辛子が浮いていたり、コチュジャンで調味していたりと、辛さのある味になっているものもあります。韓国式のおでんは、串に刺さった数種類の練りものが汁の中に並んでいて、1~2本買い求めて間食としても食べます。

韓国では練りもの自体のバリエーションが少なく、たこやえび、野菜の具材が入っているものもありますが、すり身だけのプレーンなタイプが多く、揚げたものがほとんどです。形はさまざまで今回のレシピで使った平たいものや棒状のもののほか、ボール状、丸形などがあります。日本の練りものと大きな違いはありませんが、やや弾力があり、あっさりとした味わいが特徴です。食べごたえがあって旨味がでるので、スープ、チゲ、麺類、炒めものなど、どのような料理にも使われています。

チョン・テキョンさん

後藤 ウィニーさん梨花女子大学校卒業後に来日し、駐日韓国大使館へ勤務。
韓国へ帰国後、黄彗性韓国宮中飲食研究院及び伝統餅菓教育院修了。_現在は、日本で韓国料理教室を主宰する傍ら、各所で料理講師を勤めるほか、テレビ、雑誌、新聞、講演等を通じて韓国料理文化の普及に励む。
著書に「家庭で楽しむ韓国精進レシピ」(河出書房新社)など。

うどんに練りものがスタンダード、おでんうどんは現代風アレンジメニュー

うどんに練りものがスタンダード、おでんうどんは現代風アレンジメニュー

レシピをご紹介するうどんとトッポキ、どちらも、韓国では家庭料理として普段から食べられているメニューです。
「おでんうどん」は“おでん”と“うどん”の組み合わせが意外に思えるかもしれませんが、韓国ではうどんの具材に練りものを使うのは普通のこと。わが家でも、子どものころ母に作ってもらううどんには、決まりごとのように練りものがのっていました。
おでんをトッピングしたうどんが登場したのは、おでんが韓国で浸透してからだと思います。昔からあるうどんと練りものの組み合わせをベースに飲食店などが考案したものが、広まっていったのではないでしょうか。今では、うどん専門店でも「おでんうどん」がメニューとして並んでいます。

韓国ではかつおだしを使う習慣があまりなく、うどんだけでなく、おでんやスープ、チゲなどの汁ものはいりこでだしをとります。今回のレシピでは、甘みや滋味をだすために大根もだしとして加えました。

「トッポキ」は具だくさんで栄養バランスのとれた料理

「トッポキ」は具だくさんで栄養バランスのとれた料理

一方、「トッポキ」は日本でもよく知られている韓国料理のひとつでしょう。日本では、トッポキと言うと、トック(韓国の餅)を辛いたれにからめたものを想像するようですが、韓国では、トックを練りもの、野菜、玉子などのたくさんの具材と一緒に調理するのが一般的です。
今回は、屋台でよく食べられているコチュジャン味と、宮中料理として供されるしょうゆ味のトッポキ、2種類を作りました。宮中料理のトッポキは、現代では宮中料理の専門店などで食べることができ、コースのなかのたくさんの料理の一品として登場します。屋台のトッポキはおでん同様、間食として食べることが多く、わたしも子どものころは夕飯の後に少しお腹が空くと、買い置きしてあるトックで兄弟たちとトッポキを作って夜食にしていました。
宮中トッポキの具材は野菜と肉を入れるのがスタンダードですが、今回はコチュジャントッポキと同じように練りものをたっぷり使いました。

トックはトッポキのほかにスープなどにも使う韓国の餅で、もち米ではなく、うるち米が主原料です。今回使った細長いトックはトッポキ用のもので、ほかに、少し平たい形をしたスープ用のものもあります。うるち米からできているので、炒めたり煮込んだりしても溶けてしまうことがなく、日本の餅と同じように、主に主食として食べられている食材です。

左はトッポキ用、右はスープ用の「トック」

キムチと好相性の練りもので、気軽に韓国の味を楽しんで

キムチと好相性の練りもので、気軽に韓国の味を楽しんで

今回改めて韓国と日本の練りものを調理して気づいたのは、練りものとキムチの相性の良さ。汁ものや炒めものを試してみましたが、練りものの甘みとキムチの辛さがマッチして、どの料理で組み合わせてもおいしく仕あがりました。 「おでんうどん」のレシピでは、練りものとキムチを合わせて串に刺し、汁にはキムチの汁を加えてコクをだしました。もちろん、日本の練りものとキムチも良く合いますから、今の季節ならキムチ鍋に練りものを入れるのもおすすめです。 ほかに、練りものと香味野菜も相性が良く、トッポキのレシピでは、にんにくとしょうがを効かせました。 韓国人にとってキムチは毎日の食卓に欠かせないソウルフードで、家庭では専用の冷蔵庫に一年分のキムチを用意して、毎食の箸休めや間食としていただきます。日本人からすると刺激を感じる味だと思いますが、韓国人にとってのキムチは、ほっと落ち着く生地の味なのです。 隣国に住むわたし達は、食文化を交換する機会が多く、わたし自身、韓国料理をもっと日本の人に口にしてほしいと考え、料理教室や雑誌などを通して韓国の食文化とレシピを紹介しています。もともと、日本と韓国は嗜好が近いためか、食材や調味料ひとつとっても似通ったものが少なくないと思います。 今回の料理は韓国でしか手に入らないような特別な食材や調味料を使っているものはありません。自由にアレンジしながら、気軽に韓国の味にチャレンジしてください。

チョン・テキョンさん

後藤 ウィニーさん梨花女子大学校卒業後に来日し、駐日韓国大使館へ勤務。
韓国へ帰国後、黄彗性韓国宮中飲食研究院及び伝統餅菓教育院修了。_現在は、日本で韓国料理教室を主宰する傍ら、各所で料理講師を勤めるほか、テレビ、雑誌、新聞、講演等を通じて韓国料理文化の普及に励む。
著書に「家庭で楽しむ韓国精進レシピ」(河出書房新社)など。