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紀文情報館

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おでんと健康

プロフィール

竹内冨貴子(たけうち ふきこ)

1951年東京生まれ。女子栄養大学栄養学部卒業。大学在学中から、栄養学と食事の架け橋になるような仕事を志し、卒業後は母校の栄養クリニックに勤務。理論だけではなく、実践面の料理指導なども行いたいと、1977年カロニック・ダイエットスクール開設。1985年には(株)カロニック・ダイエット・スタジオを設立。企業単位での栄養指導や、NHK「きょうの料理」レギュラー、雑誌への執筆など幅広く活躍中。

おでんの美味しさと栄養

「おでん」は煮込んでいるうちに、だしとおでん種の旨味が絡み合って、特有のおいしさになってきます。ですから、種の種類は多い方が複雑な味になるわけです。味の決め手になるのは、なんといっても練り製品です。練り製品からの旨味なしには、「おでん」の味にならないから不思議です。しかも、練り製品も何種類かを組み合わせ、だしとの相性を考えていくと、おいしい「おでん」ができるわけです。おでん種の栄養的な特徴を知ったうえで、組み合わせを考えていけば、おいしくて栄養のバランスのいい「おでん」を作ることができるようになります。

おでん種の中でも、今注目されている栄養素を含んでいるのは、つみれです。つみれに使われている鰯には、エイコサ・ペンタ・エン酸(EPA)と、ドコサ・ヘキサ・エン酸(DHA)が豊富に含まれています。さらに鰯にはカルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが含まれています。これらの脂肪酸はとても酸化されやすく、酸化されると過酸化脂質となり、老化を早める物質になります。過酸化脂質を作らずに、脂肪酸を体内で有効に働かせるためには、ベータカロチン・ビタミンC・ビタミンEなどの抗酸化のビタミンと一緒にとることです。既存のおでん種では、昆布にベータカロチンが含まれているくらいで、ひと工夫しないと抗酸化のビタミンは「おでん」からはとりにくいものです。にんじんをちくわに詰めたり、油揚げを袋にしほうれん草やにんじんを詰めるといいでしょう。もちろん、副菜として青菜のお浸しやごま和えなどを添えたりしてもいいわけです。

はんぺんは脂肪が0.3%しか含まれていない低脂肪食品です。消化がよく柔らかいので、赤ちゃんからお年寄りまで食べやすく、主婦や子どもの好きなおでん種のベスト10に入っています。ちくわやさつま揚は、たんぱく質を12%以上含んでいる手軽に使える供給源で、鉄も100gに2.0mg含んでいます。鉄を多く含んでいるほかの食品は、レバー・ひじき・ほうれん草など、お料理にひと手間かかるものばかりなので、とり難く不足している人が多い栄養素ですが、練り製品ならば簡単にとることができます。

食物繊維の供給源としては、昆布・こんにゃくがあげられます。食物繊維は体内で消化吸収することができないので、ノーカロリーです。1日20-25gが目標量ですが、根菜・豆類などに多く含まれていますが、手抜きの食事をしていると、なかなかとることができません。国民栄養調査では、17-18gしか摂取していないので、不足しがちな栄養素であるといえます。

「おでん」は練り製品からかなりバランスよく栄養をとることができますが、それでも不足しがちな栄養素は、ビタミンA・Cです。練り製品以外の具として、じゃがいもを入れればビタミンCがとれます。じゃがいものビタミンCはでんぷん質があるので加熱をしても壊れにくく、煮込み料理にむいています。ビタミンAは卵を加えればとれるようになります。
こうすれば栄養のバランスがとれますが、野菜が少ないので、大根やロールキャベツを加えたり、味の変化を持たせるために、酢の物や和えものなどの小鉢もので、野菜を添えるようにするのがお勧めです。

健康管理には、塩分のとりすぎにも注意したいものです。「おでん」は、だしを利かせて薄味に仕上げます。薄味にすると、おでん種のおいしさが引き立つようになります。残った汁は、おからや切り干し大根を煮るのに使います。
コンビニエンスストアでも売られるようになり、人気・認知度が高まってきている「おでん」です。おでん種の栄養を良く知ったうえで、おいしさを楽しみたいものです。

報道用資料 1999年発行「紀文鍋白書」より
*インタビュー内の栄養成分の表記等は、各報道用資料発行当時の公表数値に基づきます。