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紀文アカデミー

【おでん】教室 データ

紀文 食感表現の言葉調査

調査:紀文食品広報室

「ふわふわ」「プリプリ」「ほくほく」など、おでん種ごとに食感を表現する言葉は異なります。このような食感表現を「味ことば」といい、紀文食品で行った調査結果をご紹介します。「味ことば」の研究者である瀬戸賢一さんにも解説をお願いしました。

食感表現の言葉調査

紀文の「おでんを表現する味ことば」調査

おでんの種ものはバラエティーに富んでいます。種ものが多岐にわたると、種ものへの味覚嗜好性も複数になると仮定。そこで種ものの持つそれぞれの食感の測定を「言葉」という観点から調査を実施しました。

食感を表現する言葉

調査方法は、それぞれのおでん種のおいしいと思われる食感を表す言葉を以下の選択肢から、選んでいただく方法としました。

「味ことば」の選択肢
  • かたい
  • こりこり
  • しこしこ
  • プリプリ
  • かりかり・かりっと
  • やわらか
  • ほくほく・ぽくぽく
  • ふわふわ・ふっくら
  • ざっくり
  • さくさく
  • しゃきしゃき
  • しんなり・しなしな
  • とろとろ・とろりと
  • ねっとり
  • もちもち
  • ぷるぷる
  • ぷにゅぷにゅ
  • ぶよぶよ
  • くちゃくちゃ・ぐにゃぐにゃ
  • ジュワー・ジューシー
  • つるつる
  • なめらか
  • もごもご・もそもそ

調査方法:郵便調査法
調査対象:主婦482名
調査時期:2002年8月実施

おでん種別「味ことば」ベスト3

カッコ内の数字は獲得ポイントで、じゃがいもの「ほくほく・ぽくぽく」のように集中する言葉がある一方で、いろいろな言葉に分散する種ものもあることがわかります。一言では伝えられない、複雑な食感なのでしょう。

おでん食感を表現した言葉調査より

がんもどきがんもどき
1ジュワー・ジューシー(205)
2ふわふわ・ふっくら(76)
3やわらか(32)
こんにゃくこんにゃく
1ぷるぷる(163)
2プリプリ(140)
3ぷにゅぷにゅ(52)
昆布昆布
1やわらか(91)
2とろとろ・とろりと(59)
3しこしこ(52)
さつま揚さつま揚
1ふわふわ・ふっくら(59)
1やわらか(59)
3プリプリ(58)
じゃがいもじゃがいも
1ほくほく・ぽくぽく(420)
2やわらか(8)
3もごもご・もそもそ(5)/ふわふわ・ふっくら(5)
しらたきしらたき
1つるつる(215)
2ぷるぷる(70)
3プリプリ(47)
すじすじ
1こりこり(80)
2しこしこ(33)
3やわらか(17)
牛すじ牛すじ
1こりこり(81)
2やわらか(38)
3しこしこ(28)
大根大根
1やわらか(193)
2ジュワー・ジューシー(105)
3ほくほく・ぽくぽく(53)
タコタコ
1こりこり(93)
2プリプリ(87)
3しこしこ(70)
玉子玉子
1もごもご・もそもそ(164)
2ほくほく・ぽくぽく(114)
3プリプリ(47)
ちくわちくわ
1やわらか(60)
2しんなり・しなしな(46)
3プリプリ(43)
ちくわぶちくわぶ
1もちもち(92)
2ねっとり(67)
3くちゃくちゃ・ぐにゃぐにゃ(56)
つみれつみれ
1やわらか(61)
2ふわふわ・ふっくら(47)
3しこしこ(43)
豆腐豆腐
1なめらか(107)
2やわらか(95)
3ぷるぷる(71)
はんぺはんぺん
1ふわふわ・ふっくら(275)
2ぷにゅぷにゅ(46)
3やわらか(25)
もち入り巾着もち入り巾着
1もちもち(260)
2とろとろ・とろりと(49)
3ねっとり(39)

調査データの詳細

食感を表現する言葉
食感を表現する言葉









































かたい0080011015327113510075
こりこり28313013808119303111100326
しこしこ324524004433282701362843111404
プリプリ3140215814715848747435291072524
かりかり・かりっと000000140100010209
やわらか32191598217381933517602861952510740
ほくほく・ぽくぽく1003420010532114115500605
ふわふわ・ふっくら76035950403016331147712755532
ざっくり704111212116131033230099
さくさく120102321130052800048
しゃきしゃき2496182060020300041
しんなり・しなしな111243611205024611122142159
とろとろ・とろりと405901242246022719849212
ねっとり503717408100111367211539224
もちもち32116005100313921312260409
ぷるぷる31638210706130820275271172433
ぷにゅぷにゅ21526180194502411372518284617310
ぶよぶよ287011025600136167896114
くちゃくちゃ・ぐにゃぐにゃ20273322019614025534561914820302
ジュワー・ジューシー205023214161052723326171127267
つるつる02328002150101202331321312
なめらか222215080190981016107193229
もごもご・もそもそ161685263111649838101254
合計445457445445450462224249460377454444385421459451445

おでん種の「味ことば」瀬戸賢一さん

味の表現を「味ことば」と言います。甘い、辛い、酸っぱい、苦いなどの舌の表現だけではなく、味には目も鼻も耳も参加します。もうひとつは触覚。どこで何を感じるでしょうか。肌だけではありません。唐辛子のひりひりする痛みや熱い冷たいの温度も含みます。それに舌触りや歯ごたえ。かたいとやわらかいはその代表ですね。味ことばに欠かせません。近ごろ、これらをまとめて「テクスチャー」と呼びます。

「やわらかい」「ふわふわ」「ふっくら」は、触覚の中でもおもにテクスチャーに関わる味ことばです。「ほくほく」には、やわらかさにさらに熱が加わるでしょう。ほくほくしたじゃがいもは、箸がすうっと通るのに煮崩れない、柔らかいのに歯ごたえがあります。「ふっくら」にもしばしば熱がこもりますね。たとえば、ふっくらと炊きあがったごはんや焼き立てのパン、それにふっくらと蒸しあがった豚まん。肌につやがあってぴんと張っています。見た目にもおいしそう。ほおばれば口いっぱいに広がる熱気。はふはふとせわしなくあごを動かしながらいただくのも味わいのうちです。ふっくらとしたはんぺんもよろしい。

「こりこり」は歯ごたえがいのちです。それでいて噛み切れなければ話になりません。鶏の軟骨は、うまみだけではなくこりこり感も味あわなくてはもったいない。ぱりっとしたせんべいや味付けのりでもそうですが、「こりこり」や「ぱりぱり」は歯ごたえと同時に、その音も食感に響いているのでしょう。ごぼ天のごぼうにも歯ごたえが残っていてほしい。

「プリプリ」なら新鮮な魚もそうですが、おでんではこんにゃくでしょう。押しても押し戻してくるような弾力があるくせに、中まで味がしみ込んでいるのが一番。糸こんにゃくをまとめてちょう結びにしたのなら間違いなく味がゆきわたっています。

このように、おでんは五感を総動員して楽しめる食材なのです。

瀬戸賢一(せと・けんいち)さんプロフィール
瀬戸賢一(せと・けんいち)さん

大阪市立大学名誉教授。佛教大学文学部教授。おもな編著書に『ことばは味を超える』『味ことばの世界』(海鳴社)、『日本語のレトリック』(岩波書店)、『メタファー思考』(講談社)、『プログレッシブ英和中辞典』(第5版、小学館)など多数。