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紀文アカデミー

【おでん】教室 基礎

おでんの栄養

講師:蒲池桂子先生(女子栄養大学栄養クリニック教授)

おでんは煮込んでいるうちに、だしと種ものの旨みがからみ合って、特有のおいしさになります。種ものの栄養的な特徴を知ったうえで組み合わせを考えていけば、おいしくて栄養のバランスのいいおでんを作ることができるようになります。

おでんの栄養

色々な種類の栄養が摂取できるおでん

おでんは、だしが出る種ものとだしをしみ込ませる種もの、さらにアクセントをつける薬味の組み合わせで構成されています。だしは、昆布など旨み成分の濃い材料として、海草類や魚介類、鶏肉などが使われます。昆布にはグルタミン酸、魚類からはイノシン酸、貝類からはコハク酸などがだしになり、旨みの元となっています。主にだしを出す成分としての魚介類は、たんぱく質が多く含まれており、つみれやはんぺんなどは、たんぱく質が多く、脂質も少ないです。 一方、旨みを含んで種ものの味と相まって絶妙な味を醸し出すのが、豆腐類や野菜、こんにゃく類。豆腐にはカルシウム分が含まれており、がんもどきには、ひじきやにんじんなどの食物繊維も多く含まれます。

ぜひ食べたい、昆布、こんにゃく、大根

おでんといえば練りものが多く、食物繊維が不足しがちなところ、ぜひ食べていただきたいのが、昆布、こんにゃく、大根の3種類です。

昆布には、食物繊維のほかにカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラル分が多く含まれています。こんにゃくは、おなかの中を掃除するといわれるように水溶性の食物繊維を含んでおり、おなかの調子を整える役割をしています。また大根は、煮込むことでだしを含み、旨みが増します。最近は、ロールキャベツやトマトなどを入れた、現代風のおでんもあります。これらも食物繊維を適度に取ることができます。

おでんの副菜に緑黄色野菜やフルーツを

おでんには、緑黄色野菜を入れることがあまりないので、おでんの副菜としては、青菜のおひたしがおすすめです。不足しがちなカロテンが摂取できるうえに、箸休めにもなります。その他、エリンギやしいたけ、ねぎなどの網焼きなどもビタミンB群や食物繊維を取るのによいでしょう。

また、フルーツとして、イチゴやキウイ、みかんなどを食べておくとビタミンCも取ることができて、さらに栄養的にはバランスがよくなります。 しょうゆなどの塩分をわざわざ加えず、素材から出る塩分でも十分です。そのかわり、舌の感度を上げる和からしをつけておでんを食べてみることがおすすめ。薄味のはずが、十分素材の旨みを引き出すので、おでんを堪能できます。

主食は、ごはんがおすすめですが、ちくわぶや餅入り福袋などを食べていれば、なくても主食の炭水化物(糖質)は食べていることになるので、どんな種ものを組み合わせて食べるかで決めるとよいでしょう。

おでん栄養表

種もの別の栄養

種もの

栄養的特徴

練りもの・魚
いいダコ(生)
いいダコ(生)
タウリン、多価不飽和脂肪酸が含まれ、ビタミンB12が多い。
イカボール
イカボール
タウリンが旨み成分となっている。良質のたんぱく質。すり身にすることで消化もよい。
さつま揚
さつま揚
たんぱく質が豊富。旨みが強い。消化しやすい。地域によっていろいろな魚類が使われるため、旨みの成分が複雑になり、煮込むことにより旨みがだしとなり、おいしい汁になる。おでん汁は、これら旨みの出る種ものを煮込んでから味つけとしての塩分を加減することが大切である。
つみれ
つみれ
イワシ、アジなど青魚が主な原料で、多価不飽和脂肪酸が多い。
はんぺん
はんぺん
高たんぱく、低脂質、すり身にすることで消化吸収がよい。やわらかく食べやすい。良質の白身魚が原料のため、たんぱく質が多く、脂質が少ない。おでんになるとさらに水分が加わり、やわらかくなり、子どもから老人まで幅広い年齢層で食することができる。
豆腐および ふ など
厚揚げ
厚揚げ
木綿豆腐など水分の少ない豆腐を原料に油で揚げてあるために、たんぱく質の含有量が多い。ごま油などで揚げたものは、風味もよい。100g中にカルシウム240mg、鉄2.6mg、ビタミンB1 0.07mg、B2 0.03mgと比較的多く含まれる。
油揚げ
油揚げ
福袋と称して、油揚げの中に餅やけんちんだね(豆腐とにんじん、きくらげ、銀杏など精進料理で使う具材)を入れ、かんぴょうなどで袋状の部分を結んだ種もの。
がんもどき
がんもどき
野菜の食物繊維、ミネラル分、カロテンのほかに、豆腐のたんぱく質が含まれていて栄養価の高い食品。通常、カルシウムが100g中に270mg含まれる。
凍り豆腐
凍り豆腐
おでん汁を含むと6倍程度に膨れる。エネルギー量は、絹ごし豆腐の約10倍、焼き豆腐の約6倍。100g中にはカルシウム660mg、たんぱく質49mg。 5gをおでん汁で戻して食べるとカルシウムは33mg、たんぱく質は2.5gほど含まれる。
ちくわぶ
ちくわぶ
ちくわぶは、中力粉と水、塩をこねて作る。関東発祥の種もの。煮込むほどにおでん汁を含んで旨みが増す。そのものには、うどんと同じ成分のため、でんぷん質が主となる。煮込むほどにおでん汁の旨みが含まれるために、十分煮込んだあと「くたっとした」状態が好まれる場合も多い。
生ふ
生ふ
小麦粉のグルテンというたんぱく質のみでできている。煮込んですぐにおでん汁の旨みを吸収。たんぱく質は、グルタミン酸を含み、旨みを引き出す役割もしている。だしを含むと4.5倍程度に膨らむ。
いも・こんにゃく類
板こんにゃく
(生いも
こんにゃく)
板こんにゃく
コンニャクイモから作られる生いもが原料のものと一度原料のいもを粉に生成した、生いもこんにゃくと精粉こんにゃくがある。おでん汁につけておくと汁を含んでおいしくなる。水溶性食物繊維グルコマンナンを多く含む。またカルシウムが100gあたり生いもこんにゃくで68mg、精粉こんにゃくで43mg含まれる。
しらたき・
糸こんにゃく
しらたき・糸こんにゃく
しらたきは糸こんにゃくという別名もあるが厳密には違う。作り方としては、作る工程が違い、糸こんにゃくはこんにゃくをところてんのように突いてつくるが、しらたきは、温度の高い液状の状態で、小さい丸い穴を通して冷却し固める。太さは糸こんにゃくのほうが太い。栄養価は、こんにゃくと同じものである。
里いも(生)
里いも(生)
イモ類ではサツマイモの半分のエネルギーと低エネルギー食品である。ぬめりは、多糖類のガラクタンとたんぱく質が結合してこれに食物繊維が加わった糖タンパクでムチンというものである。
じゃがいも(生)
じゃがいも(生)
じゃがいもの中には加熱しても壊れにくいビタミンCが含まれている。ゆでたものでも100g中に18mg含まれる。これは1日の推奨量の5分の1にあたる。また旨みの元であるグルタミン酸やアスパラギン酸もほかのいもに比べると多く含まれている。
野菜・海草類
大根・根、
皮むき(生)
大根・根、皮むき(生)
食物繊維が多く、低エネルギー。大根は温かく煮込んだものを食べるとよい。
ほそめ昆布
(素干し)
ほそめ昆布(素干し)
昆布には、グルタミン酸を含んでおり、魚介の旨みや野菜に含まれる旨み成分を引き立たせ、塩分を控えてもおいしいだしができる。カルシウム、マグネシウム、カリウム、ヨウ素などのミネラル分が多く含まれている。またフコイダンと呼ばれる多糖類が含まれる。
ロールキャベツ
ロールキャベツ
キャベツは、ロールキャベツにすると煮込んでも型くずれがしにくくなる。食物繊維としての特性だけではなく、旨みの元となるグルタミン酸やアスパラギン酸などのアミノ酸を多く含む。
肉類・鶏卵
牛すじ
牛すじ
コラーゲンなどすじ状のたんぱく質で構成されているアキレス腱やハラミなどの一部をさす。煮込むことで加水分解されて消化吸収しやすくなる。完全にすじだけでなく、できれば肉の部分が付いているほうが旨みが出ておいしい。
鶏卵
鶏卵
ゆで玉子をあらかじめ作って殻をむき、おでん汁に入れておくと玉子の黄身の部分までだしが浸透しておいしくなる。完全たんぱくといわれるほどアミノ酸の構成が良質で、体を構成する筋肉や組織の材料となる。
とりミートボール
とりミートボール
鶏ひき肉は、ロールキャベツの具として利用されたり、ミートボールとしてつくね状にして種ものに使われる。動物性のたんぱく質として良質で、旨みを含み、野菜の多いおでんの場合には、おでん汁に深みをつけるのに利用するとよい。

(五十音順)

プロフィール
蒲池 桂子(かまち・けいこ)さん

女子栄養大学栄養クリニック教授。女子栄養大学栄養学部栄養学科栄養科学専攻卒業。東京慈恵医科大学内科学講座勤務を経て2000年博士号(栄養学)取得。2003年4月女子栄養大学栄養クリニック主任に赴任。栄養クリニック営業管理、生活習慣病栄養相談、企業向け栄養コンサルティングを行っている。〔資格〕管理栄養士、栄養学博士、日本糖尿病療養指導士、日本病態栄養専門士